2011年6月17日

【おすすめ本】『屠場』『世界屠畜紀行』

まもなく写真展開催(6月21日(火)~8月28日(日)   
会場:リバティおおさか(JR環状線「芦原橋駅」下車、南へ約600メートル)
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本橋成一はレンズ越しに世界を見つめる。

チェルノブイリでは人の去ったナージャの村を撮り、奇跡的に汚染を免れている泉を撮り、映画も製作した。
サーカス集団“ベンポスタ”では共同体という生き方を切り取った。
丸木位里、俊という原爆の図を描いた画家夫妻の生き方に迫り、小沢正一と共に昭和の芸能を辿る。
そして『屠場』では1970年~80年の松原市立屠畜場に通い、食文化と命の事、そして差別について向き合った。
一貫性のある写真家であり、社会派と呼ばれるにはその視線が実に細やかな感性で組み立てられていると感じるのは彼の写真に魅せられているからだろうか。

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『屠場』本橋成一/写真 (平凡社刊)

大阪人権博物館での写真展をご案内するのは、この写真集が現在品切れであり、入手しにくい状況なので、本がいづれ重版されると思いつつその前に写真展へ足を運んで頂ければと願っての事。
数々の写真賞を得ている方だが、賞とは拘わり無く素晴らしい写真家だと思う。                                                                  生きる事は他の命を奪うことという当然の原理を無かったかのようにふるまう都市生活者にとって、彼の撮影した『屠場』は、衝撃的でさえある。
ところがじっくり見ていると、必ずしも映し出された光景だけの衝撃ではなく、こういった『屠る』という仕事が存在すること、その上に観察者である本橋氏、そして読者自身の“生”があり得るという事実の重みからもたらされる衝撃であると自覚する。
昨今の、『衝撃的』というフレーズを滅多やたらと使う悪趣味とは全く異なる。衝撃を受けたことで禊を済ますことが出来るのではなく、生きている限り続く原罪性と捉えるべきかもしれない。

【人事部 平野】

屠場について書いた本で私が思い浮かべたのは『世界屠畜紀行』内澤旬子/〔著〕(角川書店刊)。
世界とさつ

イラスト交じりで淡々と世界の屠畜現場を徹底的に取材した本書は、食べるために失われる命があることを、改めて認識させてくれた1冊でした。
【商品部 吉川】